クリキが語る!

「会社はテーマパークだ」

日本システムデザインの社長、栗城仁が語る「生き方・働き方」

第2回「『伝える』力」

人にどう伝えるのかというのが、SEとして、技術者としてのコア。

 

お客様のニーズをどう理解して、どう実践していくか、単に言われたことをやるのではなくて、ニーズを分析する中で改善点や改善テーマを洗い出していき、それをシステム化していく、やはりここじゃないですかね。

我々のSEとして、技術者としての仕事は、『伝える力』がコアかなと思っています。人にどう伝えるかというのが一番重要だと思っているんです。お客様や周囲の人々に、SEとして、技術者として、自分の意思や表明したい物事をどう伝えたらいいか? 表現能力ということですね。

これは、対面で話す場合だけではありません。仕事柄、我々は設計書・ドキュメントを作って内容を提示していきますが、それは日本語で書くわけです。ですから、その日本語が伝わらないようなものであれば、理解してもらえるはずがありません。

ダラダラいっぱい書き連ね、量で勝負するような資料を作るのではなくて、例えば「5W1H」を基本としてA3用紙1枚にまとめて、可視化する。伝えることってそんな多くないはずなので、A3用紙1枚一度にまとめきれるはずなのです。我々だって、文章が長い物はかえって読まないものですよね。特に忙しかったりすると、長文というだけではねてしまう。ですから、読んで欲しいお客様にどうしたら読んでいただけるか。つまり、簡潔かつ必要十分にどうまとめきるか、表現するか。ここがポイントです。まず、そこからかなと思っています。

これは私が30年間で培ってきた経験則なんです。

お客様に報告をまとめた資料を持っていって、突き返されるとか、破り捨てられるとか……そういうことの経験も、もちろんいっぱいあるわけです。その積み重ねをしながら、何がお客様に求められているのか、そういうことが分かるようになってくる。

ただ、そういったことは教えられて分かるものではありませんよね。経験から気が付いていく、いわばセンスといいますか、そこが重要かな……。

よく皆に言うんですが、先方に言われたからただ直すのか、これはこうまとめたらなぜダメなのかを追求したうえで修正するのかによって、まったくその後の結果が違ってくると。

まずはお客様と話し合いをして、その時のさまざまな会話の中で、なんだかんだがあれば、それを謙虚に受け止めて、何がいけなかったかをきちんと考える。そういうことの繰り返しですよね。

私は人が育つのは現場だと常に思っている。それが私の軸です。会社があるから現場があるのではなくて、現場があるから会社が成り立っていると思っています。

現場から学ぶことはたくさんあると思います。お金を貰ってやってるんですから、タダじゃないんですから、学ばないと損じゃないですか。いっぱい人がいて、いろいろな人と接するわけですから、それを見なければ損です。

現在は経営者であり、SEでもあり、いわば両輪を兼務している形ですが、経営者という意識の前にSEとしての意識の方が強いので、やっぱり、現場重視の気持ちは変わらないですね。

だから、私は今でも現場が大好き、なんですよ。